スマートモビリティーとは? 経産省、全国11地域で先進実証をスタート

2022.09.06 Update

Maas 自動運転

スマートモビリティーとは? 経産省、全国11地域で先進実証をスタート

スマートモビリティは、移動や交通に新たな付加価値をもたらし、社会課題の解決に役立つと期待が寄せられています。経産省と国交省はこのほど、4年目となる「スマートモビリティチャレンジ」事業の選定地域を公表しました。

スマートモビリティとは?

スマートモビリティとは、移動や交通に関する新たな考え方の総称です。そもそも、モビリティという言葉は「可動性」「移動性」などという意味をもちますが、スマートモビリティは、単なる移動手段だけではありません。情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)といった最新のテクノロジーを活用し、従来の移動や交通を、より安全・便利で効率よく革新したものがスマートモビリティなのです。

“移動”に求められる価値が変わりつつある

スマートモビリティの背景としては、移動や交通に求められてきた価値が、時代とともに変わりつつあるということが考えられます。これまで、乗り物や交通に求められる主要な価値は「目的地まで安全に移動できること」というものでした。しかし、今後は、安全に移動できることに加えて、さまざまな付加価値が求められると考えられています。

例えば、過疎化や高齢化の進む地域にスマートモビリティを導入し、移動機会を創出することによって健康で活気ある町づくりを目指したり、マイカーではなく公共交通機関としての

スマートモビリティの利用を促すことで、CO2排出量の削減に貢献したりする効果が期待されます。

MaaSによって広がるモビリティの可能性

そこで重要な役割を果たすのが「MaaS(マース):Mobility as a Service」というサービスです。MaaSとは、情報通信技術を活用し、移動手段を最適に組み合わせ、検索・予約・決済などを一括で行うことができる新たなサービスです。日本語では「サービスとしての移動」「移動のサービス化」などと訳されます。

MaaSの登場によって、複数の人が自動車を共有して使うカーシェアリングや、同じ目的地まで相乗りするライドシェアなどがより活用しやすくなると考えられています。このように、スマートモビリティは今、移動だけでなく、社会課題を解決する手段としても注目されているのです。

2022年度「スマートモビリティチャレンジ」事業

経済産業省と国土交通省は、2019年度から「スマートモビリティチャレンジ」事業を通じて、新たなモビリティサービスの社会実装を支援しています。今年7月には、2022年度「スマートモビリティチャレンジ」における先進実証を行う地域や事業者が発表されました。

選ばれたのは、北海道から沖縄まで全国11の先進パイロット地域。地域ごとに「他の移動との重ね掛けによる効率化」「モビリティでのサービス提供」「需要側の変容を促す仕掛け」「異業種との連携による収益活用・付加価値創出」「モビリティ関連データの取得、交通・都市政策との連携」という5テーマに取り組むことになっています。

一例を挙げると、愛媛県伊予市では「自動運転車両での複数サービス提供による収益・財源多角化検証」として、高齢化が進む地域で、自動運転バスを用いた健康相談や生活必需品の販売などのサービス提供を検証するとしています。

(出典:経済産業省

スマートモビリティの社会実装に向けては、制度面など多くのハードルがあります。例えば、自動運転に関する規制もその1つ。現在は、ドライバーが自動運転に適切に介入する「レベル3」まで認められていますが、今後、特定条件下における完全自動運転である「レベル4」の実証事業が行われ、段階的に拡大されていく見通しです。こうしたハードルを1つずつクリアし、あらゆる地域課題の解決に役立てるよう期待されます。

                                                制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook