2023.05.20 Update
対馬グローカル大学、オンラインで教養高める場を提供
長崎県対馬市では、オンラインを活用して島内外の人々が学んだり交流したりできる「対馬グローカル大学」を実施しています。対馬に関する研究や実践活動に取り組む専門家や実践家が、環境、社会、歴史文化などについての講義を行い、教養や専門性を高める場として活用されています。
質の高い教育機会 オンラインで充実
長崎県対馬市は九州と朝鮮半島の間に位置する離島で、島内には大学などの高等教育機関はありません。「対馬グローカル大学」は、オンラインを通じて、対馬にゆかりのある専門家から環境、社会、ビジネスなどについて幅広く学ぶ場です。学位を取得するものではなく、教養や専門性を磨く場として対馬市のしまづくり推進部・SDGs推進課が行っています。
「グローカル」とはグローバルとローカルの造語。地球規模の視点で課題の解決方法を考え、地域の持続的な発展のために行動することを目指しています。SDGsの4番目のゴールである「質の高い教育をみんなに」を達成するための重要施策として、2020年度から実施されています。
年1回の現地実習 受講生同士の交流も
対馬グローカル大学には、WEB講義、オンラインゼミ、仮想研究室の3つの学びの場があります。WEB講義では、毎月数回にわたって環境、社会、ビジネスなど幅広いテーマについて講義が行われます。
オンラインゼミでは、受講生を少人数のグループに分け、大学教員などからサポートを受けながら学びを深めます。年1回、対馬での現地実習も予定され、ゼミの最後には活動成果を披露する修了発表会も予定されています。ゼミの内容は、SDGsの観点から環境・社会・経済(ビジネス)の3つに加えて、大学生や高校生向けのものもあります。
オンラインのコミュニケーションツールによる仮想研究室では、ゼミの受講生が講師に質問したり、受講生同士が交流したりすることができます。
特産品の販売戦略やまちおこし 多様な研究テーマ
これまで対馬グローカル大学の受講生が取り組んだ研究テーマは多岐にわたります。例えば、2021年度の修了発表会では、漂着した海洋ごみを資源としてまちおこしの素材に変える取り組みや、SDGsのパンフレット作成、防災機器の製作などの研究成果が発表されています。
また、2022年度の修了発表会では、島の人々が集まることのできるコミュニティスペースづくりや対馬の林業、クラゲなど海の生き物や樹液、海水といった島の資源の活用可能性などについて個性豊かな研究成果が報告されました。
近年は、オンラインで仕事や勉強をすることが一般的になりましたが、オンラインを駆使した対馬グローカル大学は、教育機会の提供であると同時に、地域特性を活かして関係人口を増やす取り組みではないでしょうか。学びという切り口で仲間づくりを行うことから、修了後も地域との関わりが持続していくと期待されます。
(参考:対馬グローカル大学)
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook