上下水道施設への再エネ導入を加速。環境省が技術実証を開始

2024.07.12 Update

再エネ 官公庁

上下水道施設への再エネ導入を加速。環境省が技術実証を開始

 

上下水道分野における再エネの導入拡大が進んでいます。環境省は、上下水道施設の空間を立体的に活用するなどして、再生可能エネルギーの導入や利用を促進する考えです。国土交通省も下水道分野の創エネを促進するなど、再エネ導入の動きが加速しています。

 

水路上部などに太陽光を設置する技術を確立へ

環境省は今年5〜6月、上下水道施設、工業用水道施設、下水道施設、河川区域において太陽光発電を設置する実証事業の公募を行いました。「水インフラの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業」では、水路の上部など、従来の太陽光発電ではあまり設置されない場所への新たな設置方法について技術実証を行います。

水道施設の上部などに太陽光発電設備を設置した事例としては、横浜市の取り組みが広く知られています。横浜市では、小雀浄水場のろ過池の覆蓋に太陽光パネルを取り付けるなど、早くから水道施設に太陽光発電を導入しています。

こうした取り組みでは、太陽光パネルを設置するだけでなく、運用や保守といった長期的な視点での評価が重要です。水道施設は定期的な点検や清掃を行うため、その際に太陽光パネルが支障にならないようにしなければなりません。

環境省の技術実証では、設置や運用の方法、維持管理などの評価を行い、導入スキームを含む普及促進に向けた検討を行うとしています。予算額は、新規の実証委託全体で1,500万円以下とされ、8月中旬にも採択事業を決定するとしています。

 

下水道分野への再エネ導入の動きも活発化

国土交通省でも、道路や鉄道、空港などのインフラ空間を利用した太陽光発電の導入を促進しています。下水道分野では、下水処理の過程で多くのエネルギーを使用します。これによる温室効果ガスの排出量は、年間約600万トン-CO2に上るということです。

地球温暖化対策計画では、下水道における省エネや創エネの推進、下水汚泥焼却の高度化などによって、2030年度までに208万トン-CO2の温室効果ガス(2013年度比較)削減を目指しています。

創エネに関しては、下水汚泥による消化ガスの利用施設の導入が中心だと考えられますが、下水施設の屋上や遊休地などにおける太陽光発電設備の導入も含まれるでしょう。

こうした国の動きを受け、太陽光発電協会(JPEA)と日本下水道協会(JSWA)は6月、下水道施設への太陽光発電の設置を推進することを目的に、包括連携協定を締結しました。今後は、研修会やセミナーの開催、情報交換などを行うとしています。上下水道分野における再エネの導入拡大が活発化しており、今後の動向が期待されます。

(参考:環境省国土交通省一般社団法人太陽光発電協会

 

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook