第5回脱炭素先行地域に9件。風車やペロブスカイトの国産化計画など、産業振興に期待

2024.10.15 Update

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第5回脱炭素先行地域に9件。風車やペロブスカイトの国産化計画など、産業振興に期待

環境省は9月27日、第5回脱炭素先行地域の選定結果を発表しました。新たに9提案が選定され、脱炭素先行地域はこれまでの合計で82提案となりました。第5回の選定結果でにはどのような特徴があるのか、リポートします。

 

46件の計画提案の中から9件が選定

 

第5回脱炭素先行地域の公募は、2024年6月17〜28日に募集が行われ、全国66の地方公共団体から46件の計画提案が提出されました。約3ヶ月の審査期間を経て、9提案(2県14市町)が選定されました。選ばれたのは下記の提案で、これまで脱炭素先行地域がなかった、いわゆる空白県の11都県のうち、三重県と広島県の2県の市町が初めて選定されました。なお、都道府県を主たる提案者とする計画は選定されていません。

(第5回脱炭素先行地域について。出典:環境省)

 

 

先進性と実現可能性の高い提案が評価

 

第5回公募では、(1)先進性、モデル性、(2)地域経済循環への貢献、(3)事業性、(4)取り組みの規模・効果および電力需要における自家消費率・地産地消率、(5)再エネ設備の導入量およびその確実性、(6)需要家・供給事業者・関係者との合意形成、(7)地域の将来ビジョンとの整合性ーーという7つの観点に基づく評価が行われました。

 

中でも、(1)先進性、モデル性、(5)再エネ設備の導入量およびその確実性ーーについて、特に議論があったとされています。総評では、神戸市や福岡市のように、国家戦略特区の規制緩和の仕組みを活用して、地域脱炭素の取り組みを推進しようとする提案があったことが注目されています。

 

また、これまでと同様に実現可能性も重視され、特に、関係者間における合意形成の重要性が強調されました。計画をどのような体制で実施するのか、庁内の体制が確保できているかどうかが、とりわけ評価されたようです。計画では、多くの共同提案者が名を連ねていることから、実施にあたっては強いリーダーシップが求められるでしょう。

 

風力発電やペロブスカイト太陽光の国産化に期待

 

今回の公募では、日本全体の産業振興につながる計画が選定されたことも特徴的です。北海道厚沢部町は、国産の中型風力発電機を導入し、運転・保守や人材育成の体制を構築し、設備の建設工事から維持管理まで一貫して地域で行うという計画です。長崎県五島市は、風力発電をフィード・イン・プレミアム(FIP)制度で運用するとともに、発電された電気や非化石価値を地産地消するモデルを構築すると計画しています。また、福岡市では、みずほPayPayドーム福岡の屋根に国産ペロブスカイト太陽電池を導入し、社会実装を推進するとしました。

 

風車やペロブスカイト太陽電池の国産化、エネルギーの地産地消が実現されれば、地域に大きなインパクトをもたらすでしょう。再エネ発電設備を国内で製造できるようになれば、その地域だけでなく、国全体の産業振興にもつながります。これらの取り組みから、多くの学びが得られることを期待しています。

 

(参考:脱炭素先行地域 – 脱炭素地域づくり支援サイト|環境省

 

 

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook