地域脱炭素ロードマップ、自治体・民間・市民一丸の取り組み促進へ

2021.07.12 Update

地域脱炭素ロードマップ、自治体・民間・市民一丸の取り組み促進へ

2021年6月9日、カーボンニュートラルに必要な施策や分野別の対策をまとめた「地域脱炭素ロードマップ」が内閣官房の国・地方脱炭素実現会議において了承されました。2050年カーボンニュートラルを実現するために、今後5年間を短期集中期間として、政策を総動員し、取り組みを加速するという強い意気込みが感じられます。

2030年までに100の脱炭素先行地域を創出へ

(画像出典:内閣官房 国・地方脱炭素実現会議(第3回)

ロードマップの取り組みの柱は2つ掲げられています。まず、2030年までに100箇所の「脱炭素先行地域」を創出すること。次に、脱炭素の基盤となる重点対策を全国で実施することです。

「脱炭素先行地域」とは、地方自治体が中心となって住宅、建築物、交通、農林水産業などの各分野で排出削減対策に取り組む地域です。「住生活エリア」「ビジネス・商業エリア」「自然エリア」「(公共施設などの)施設群」という5つの類型に分類されています。

家庭や業務といった民生部門では、2030年までに電力使用に伴うCO2の発生を実質ゼロとするなどの削減レベルの要件が求められます。2030年までに100箇所の脱炭素先行地域を創出するために、2025年までに道筋をつけるとされました。

脱炭素の基盤となる8つの重点対策

脱炭素の基盤となる重点対策は、以下の通りです。

  1. 屋根置きなど自家消費型の太陽光発電
  2. 地域共生・地域裨益型再エネの立地
  3. 公共施設など業務ビル等における徹底した省エネと再エネ電気調達と更新や改修時の ZEB化誘導
  4. 住宅・建築物の省エネ性能等の向上
  5. ゼロカーボン・ドライブ
  6. 資源循環の高度化を通じた循環経済への移行
  7. コンパクト・プラス・ネットワーク等による脱炭素型まちづくり
  8. 食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立

地域一丸の課題解決に主眼

注目したいのは、これらの対策の主体が、地方自治体・地域企業・市民など地域の関係者であると明記されたことです。3者が一体となって協力することが求められています。

具体的には「地方自治体・金融機関・中核企業等が主体的に参画した体制を構築し、地域課題の解決に資する脱炭素化の事業や政策を実行」するとされました。脱炭素の取り組みと同時に、地域の課題解決も一丸となって行うこととされています。

(画像出典:内閣官房 国・地方脱炭素実現会議(第3回)

一方で、国もこうした取り組みを支援するために、人材や情報技術、資金といった多角的なサポートを行うとしています。特に、資金に関しては、資金支援の仕組みを抜本的に見直すとし、これまでの単年度から複数年度にまたがった包括的な支援となることが期待されます

環境省は、脱炭素先行地域の創出を起爆剤として、全国にこの取り組みを拡大する考えです。地方における脱炭素が大きくスポットを浴びています。多様なアイディアで取り組みが加速するとともに、地域課題の解決にもつながるよう望まれています。

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook