都市OSとは? スマートシティ実現のカギ握るシステム

2023.03.01 Update

エリマネ スマートシティ

都市OSとは? スマートシティ実現のカギ握るシステム

スマートシティを実現するための中核となる「都市OS」が注目されています。都市OSとは何か、活用することでどういった効果が期待されるのか、実例を交えて解説します。

都市OSとは

都市OSとは、既存の行政情報システムなどと連携できるオープンな行政管理システムのこと。コンピュータ上で基本的な機能を担うOS(オペレーション・システム)に例えて名付けられました。都市OSは、スマートシティを実現するための中核を担うシステムと位置付けられています。

都市OSを導入することによる効果

都市OSを導入する前は、行政サービスを提供するにあたってのデータが個別に管理されており、担当者・担当部署によって独自に管理されていました。そのため、行政サービスが重複したり、域内や都市間での連携を行うことが難しかったりする課題がありました。また、新たな行政サービスを展開する際には、ゼロからシステムを構築する必要があり、コストがかかるというデメリットもあります。

(これまでのスマートシティの取り組みにおける現状と課題。出典:内閣府『スマートシティ リファレンスアーキテクチャのつかい方 導入ガイドブック』)

都市OSを導入すれば、こうした課題を解決できると期待されています。スマートシティに関するサービスを提供するために必要な情報を、都市OSを通じて相互に利活用できるようになるからです。これまで個別に存在していたサービスが連携することで、新たな付加価値も生まれるでしょう。また、サービスを実施するまでの時間を短縮できたり、システム構築のコストを抑えたりすることもできると考えられています。

(都市OSを活用したスマートシティの設計。出典:内閣府『スマートシティ リファレンスアーキテクチャのつかい方 導入ガイドブック』)

都市OSは、サービスや都市間の連携を行うためのシステム的な土台であり、スマートシティを効率的に低コストで実現するために役立つとされているのです。

都市OSの導入事例

内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用した サイバー空間基盤技術のアーキテクチャ構築ならびに実証研究事業」に携わった総合コンサルティング会社アクセンチュアは、いくつもの自治体に都市OSを提供しています。

例えば、2015年には、福島県会津若松市に同社の都市OSを導入。市民向けのポータル「会津若松プラス」を通じて、個人ごとに最適化した情報をポータル上に表示し、サービスの利便性を向上しています。また、母子健康手帳の電子化などにも取り組んでいます。

都市OSを導入する自治体は年々増えており、2021年度までに累計46の自治体が導入しました。国は、2025年までに都市OSを導入する自治体を100地域に増やし、行政サービスの効率化を図るとしています。

(都市OS導⼊地域数の推移。出典:内閣府『スマートシティ推進施策について』2022年4月)

総務省は、「地域課題解決のためのスマートシティ推進事業」として、地方公共団体や民間団体にして都市OSの整備や改修などに関する補助制度を行うとしています。令和5年度予算案に4億円が盛り込まれ、補助率は2分の1となる見通しです。これによって、スマートシティの実現に向けて重要な役割を担う都市OSの導入が拡大すると予想されます。

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook