2023.11.06 Update
2030年カーボンニュートラルを目指すカリフォルニア州サンノゼ市のスマートシティの取り組み
米国カリフォルニア州には、地方自治体が運営する非営利の電力会社「電力公社」が多くあります。市民とともに2030年にカーボンニュートラルを達成するという意欲的な目標を掲げるサンノゼ市のスマートな取り組みを紹介します。
2030年カーボンニュートラルを目指すサンノゼ
カリフォルニア州西部のサンノゼ市は人口100万人あまり、IT企業が多く集まるシリコンバレーの中心都市です。同市では2030年までに地域全体でカーボンニュートラルを目指すことを掲げており、建築分野や輸送分野、エネルギー転換の脱炭素化に力を入れています。
(サンノゼ市の2030年カーボンニュートラルへの道のり。出典:サンノゼ市)
同市のカーボンニュートラルに向けた戦略は、大きく5つあります。1つ目は電動車への移行、2つ目は公共交通機関や自転車、徒歩の推奨、3つ目は設備の電化、そして4つ目が使用する電気のCO2ゼロ化です。
サンノゼを訪れて感じた交通の電化の印象
(サンノゼ市内の歩道で見かけたキックボード。筆者撮影)
筆者が実際にサンノゼ市を訪れると、街中にはテスラなどのEVやプリウスなどのハイブリッド車が多く走っており、日本よりもEVの比率が多い印象を受けました公共バスもハイブリッド化されているなどの一方で、自家用車では古いガソリン車も多く見られました。
また、市民の足としては、自転車よりもキックボードが多く利用されていました。街のあちこちにキックボードが並んでいて、キックボードを止めておくためのスタンドも多く見受けられます。電動のキックボードは思いのほか速度が出るため、歩道の走行は禁じられているようです。
サンノゼの電力公社による再エネ電気の普及
(San Jose Clean Energyの担当者に話を聞く筆者)
電力公社とは、地方自治体が運営する非営利の電力会社のことです。サンノゼ市は2019年、「San Jose Clean Energy(SJCE)」という電力公社を立ち上げ、市民に再生可能エネルギーによるクリーンな電気を供給しています。
同社の家庭向け電気料金メニューは、再生可能エネルギーの比率が60%と100%の2プランに大別されます。再エネ60%メニューの中に、さらにオール電化の家庭向けプラン、EVユーザー向けプランなど、電気の使用パターンに応じたいくつかのプランがラインナップされています。SJCEの顧客は、家庭や企業を含めて35万軒にのぼっています。
電気料金を通じてSJCEが得た利益は、再生可能エネルギーの開発や電気自動車(EV)の充電インフラの設備、省エネルギー対策などに投資することで、サンノゼ市のカーボンニュートラルを後押ししています。
同社の担当者に話を聞いたところ、現在、住宅の太陽光発電や蓄電池、空調を適切にコントロールすることによって、地域全体のエネルギーをよりスマートに活用する仕組みを展開しているとのことでした。エネルギーの最先端を走る同市の取り組みに、今後も注目したいと思います。
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook