14回のリサイクル率日本一!鹿児島県大崎町の「OSAKINIプロジェクト」とは?

2023.12.12 Update

エリマネ リサイクル

14回のリサイクル率日本一!鹿児島県大崎町の「OSAKINIプロジェクト」とは?

広大なシラス台地が広がる鹿児島の大隅半島に位置する大崎町は、リサイクル率日本一を14回獲得し 、ごみの8割以上を再資源化しています。住民や企業がともにサーキュラーヴィレッジを目指す「OSAKINIプロジェクト」とは、いったいどのような取り組みなのでしょうか。そして、プロジェクトのきっかけになった25年前の出来事とは?大崎町の取り組みから、循環型社会を実現するヒントを探ります。

 

「リサイクルの町から、世界の未来をつくる町へ」

(学校での分別の取り組み。写真:志鎌康平/提供:一般社団法人大崎町SDGs推進協議会)

 

「OSAKINIプロジェクト」とは、リサイクル率日本一を14回獲得している鹿児島県大崎町を舞台に、すべての資源が循環する持続可能な社会を目指すプロジェクトです。リサイクルの町から、世界の未来をつくる町へ」をモットーに、住民・循環型社会づくりに取り組む人・企業がともに“サーキュラーヴィレッジ・大崎町”を目指して取り組んでいます。

プロジェクトを運営するのは、一般社団法人大崎町SDGs推進協議会です。一つの自治体だけでは達成できないさまざまな課題を解決するため、多様な主体のパートナーシップによって、2021年4月に設立されました。

 

きっかけは埋立処分場の残余年数

大崎町にはもともと焼却処理場がなく、埋立処分を行っていました。1990年から大崎町と旧志布志町、旧有明町で新たな埋立処分場を供用していましたが、埋立処分場の残余年数が、当初の計画より早くひっ迫。そのため、新たなごみの処分方法を検討した結果、大崎町と供用自治体は既存の埋立処分場を長く使用することを選択しました。そこで、埋め立てごみを減らして埋立処分場を延命化するため、1998年からごみの分別を始めたのです。

 

27品目の分別と堆肥化の「大崎リサイクルシステム」

(資源ごみの分別。写真:志鎌康平/提供:一般社団法人大崎町SDGs推進協議会)

ごみの分別は、まず、カン・ビン・ペットボトルの3品目の資源ごみからスタート。2004年には生ごみやそうぼくの埋め立てが全面禁止となり、住民の意見を反映しながら、分別の品目は徐々に増えていきました。現在では、27品目に分けられ、回収されています。

(プラスチックの分別作業風景。写真:志鎌康平/提供:一般社団法人大崎町SDGs推進協議会)

回収されたごみは、民間企業によってさらに50種類程度 に分別され、資源として販売できるような仕組みも構築されています。

(販売されている堆肥『おかえり環ちゃん』。写真:志鎌康平/提供:一般社団法人大崎町SDGs推進協議会)

また、生ごみや草木は自然の菌を使って発酵させ、完成した堆肥は「おかえり環ちゃん」という名称で販売されています。

これらの取り組みは「大崎リサイクルシステム」と呼ばれ、これによって、当初、数年で満杯になると言われていた埋立処分場は、今後、約40年間使い続けられるようになりました。また、2020年度のリサイクル率は83.1%にのぼっています。(2022年3月29日 環境省発表時点)

サーキュラーヴィレッジの体験施設なども

こうした背景から、OSAKINIプロジェクトでは、循環型社会を体感できる施設の第一弾として、体験型宿泊施設「circular village hostel GURURI」 の開設に取り組んでいます。これは旧県職員宿舎をリノベーションしたもの。リノベーションにあたっては、資材の調達や断熱性能の向上など、環境負荷を最低限に抑えるためのさまざまな工夫が施されました。circular village hostel GURURI」では、大崎町で行われている27品目の分別などを体験できます。 また、「おかえり環ちゃん」を活用したガーデンで育てた野菜を収穫し、調理して美味しくいただくなどの体験も予定しているとのことです。

町が直面した埋立処分場の残余年数ひっ迫という課題から、町を挙げてリサイクルに取り組んだ大崎町。27品目という細かな分別によって、再資源化を徹底しています。混ぜればごみ、分ければ資源」という言葉がありますが、それを実現している大崎町に学ぶところは多いと感じます。

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook