2021.09.21 Update
住宅・建築物の脱炭素に方針。地方公共団体の太陽光導入を一般化へ
国土交通省、経済産業省、環境省が住宅・建築物のカーボンニュートラルの実現を目指し、2030年と2050年の住宅・建築物に関する方針や施策を発表しました。
省エネと再エネの両輪で脱炭素目指す
国土交通省、経済産業省、環境省は、8月に公表した「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」のとりまとめにおいて、カーボンニュートラルを念頭に置いた住宅・建築物のあり方と施策を明らかにしました。
とりまとめでは、省エネと再エネの双方について目指すべき姿が示されました。2030年には、新築の住宅・建築物の省エネ性能をZEH・ZEB基準相当とすることに加え、新築の戸建住宅の6割に太陽光発電設備の導入を目指すとされています。2050年には、既存の住宅・建築物も含めZEH・ZEB基準相当の省エネ性能を平均とし、太陽光発電設備などの導入をスタンダードにするとされました。
また、国や地方自治体などの公的機関の住宅・建築物に関しては、民間事業者の取り組みを促進する観点からも、徹底した省エネ対策・再エネ導入拡大に率先的に取り組むとされました。先駆的な地方自治体の取り組みは横展開などを図り、推進するとしています。
「ボトムアップ・レベルアップ・トップアップ」で省エネを推進
住宅・建築物の省エネについては、省エネ基準への適合義務化や基準の引き揚げ、市場全体の省エネ性能の向上といった「ボトムアップ・レベルアップ・トップアップ」が取組みの柱とされます。
国や地方公共団体の建築物は、現在の省エネ基準よりも高い水準の誘導基準に合わせることを原則とするとされました。自治体がリーダーシップを発揮して省エネを推進することで、民間への波及効果が期待されています。
自治体の太陽光設置がスタンダードに
2030年の新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備を設置するとされたほか、国や地方公共団体に関しては、太陽光発電設備の設置を一般化するとされました。設置の義務化にまでは至りませんでしたが、「可能な限りの太陽光発電設備の設置を推進」という強い表現が用いられた点が特徴的です。
なお、太陽光発電設備の設置義務化に関しては将来における「選択肢の一つ」とされています。
また、国・地方脱炭素実現会議の地域脱炭素ロードマップを踏まえた脱炭素先行地域づくりなどについても、支援や制度的な対応を行って後押しするとされました。
省エネ・再エネともに意欲的な施策が挙げられた点はもちろん、国土交通省、経済産業省、環境省の3省の協同によるという点からも、脱炭素に対する積極的な姿勢が垣間見えます。
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook