2022.01.17 Update
令和3年度「気候変動アクション環境大臣表彰」に新しく脱炭素イノベーション特別枠
気候変動の緩和や適応のアクションをたたえる「気候変動アクション環境大臣表彰」。今回から、脱炭素イノベーションの社会実装を加速する特別枠が新設されました。
「気候変動アクション環境大臣表彰」とは?
2021年11月22日、環境省の「令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰」の受賞者が発表されました。「令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰」とは、気候変動の緩和及び気候変動への適応に顕著な功績のあった個人・団体をたたえるもので、1998(平成10)年から開催されています。
表彰の対象となる部門は、(1)開発・製品化部門、(2)先進導入・積極実践部門、(3)普及・促進部門の3つに加え、今回から新たに特別枠として、(4)気候変動アクション環境大臣表彰(イノベーション発掘・社会実装加速化枠)が設けられました。
この特別枠に選ばれた団体には、次年度のCO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業の優先採択権が与えられます。脱炭素に役立つイノベーションをいち早く社会実装させるための特別な措置だといえます。
今年度の受賞者の顔ぶれは?
「令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰」では、それぞれ(1)開発・製品化部門で7者、(2)先進導入・積極実践部門で6者、(3)普及・促進部門で16者、そして(4)気候変動アクション環境大臣表彰には2者が選ばれました。
受賞者の中から、先進導入・積極実践部門で大賞に輝いた開成町と、気候変動アクション環境大臣表彰を受賞した株式会社Looopの取り組みについて紹介します。
開成町の「日本初のZEB庁舎認証」
神奈川県西部に位置する開成町は2020年1月、開成町新庁舎の設計の段階で、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)における「Nearly ZEB」「最高ランク☆☆☆☆☆」の認証を取得しました。これは、庁舎として全国で初めてのことです。
地域の特性を生かした空調や太陽光発電システム、構造などを工夫して、パッシブ・アクティブ技術を組み合わせ、2020年度の一次エネルギー消費を85.5%も削減することに成功したといいます。
Looopの「脱炭素循環型コミュニティ普及モデルの構築 〜スマートシティさいたまモデル〜」
(画像出典:株式会社Looop)
新たな特別枠の受賞者に選ばれたのは、株式会社Looopやさいたま市、住宅事業者による分譲住宅地にマイクログリッドを導入する取り組み「エネプラザ」です。さまざまな分散型エネルギーリソースを組み合わせ、再生可能エネルギーの自給率を飛躍的に高めた点が評価されました。
「エネプラザ」では、51軒の住宅に太陽光発電システムとハイブリッド給湯器を設置し、発電のタイミングで湯沸かしするLooop独自の制御を行いました。また、51軒の太陽光発電による電気を「チャージエリア」と呼ばれる変換ステーションに集め各家庭に配布するなど、マイクログリッド全体で再エネ自給率を高める試みが行われました。
これによって、太陽光発電を各家庭で消費する場合と比べて大幅に高い再エネ自給率60%を達成することができたといいます。
ほかにも、数多くのユニークな取り組みが表彰されています。脱炭素に向けてあらゆる分野でイノベーションが求められる今、こうした斬新なアクションが早期に社会実装されるよう望まれます。
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook