空港の脱炭素化いよいよ始動! SAFの商用化も目指す

2022.03.28 Update

カーボンニュートラル 脱炭素 SAF

空港の脱炭素化いよいよ始動! SAFの商用化も目指す

3月1日、航空業界の脱炭素化などを盛り込んだ航空法などの改正案が閣議決定されました。協議会を編成し、脱炭素化を推進する新制度も創設の見通しです。

改正案のポイントは業界「全体」の脱炭素化

出典)国土交通省 2022年3月1日 報道発表資料 概要より抜粋

改正案には「航空分野全体での脱炭素化の推進」などが盛り込まれました。まず、航空業界全体で脱炭素化に取り組むため「航空脱炭素化推進基本方針」を策定するとされています。

そのうえで、国内の航空会社各社に対し「持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、SAF)」の導入など、脱炭素化を推進するための計画作成を求めるとしています。

持続可能な航空燃料(SAF)とは、使用済みの食用油や藻類、廃棄物などを原料とした航空燃料のこと。化石燃料に代わってCO2排出量を抑えるのに役立つとされていますが、一方で、商用化に向けた普及・拡大が課題であるとされています。

今回の法改正によって、航空会社にSAFの利用を促すことでSAFの開発投資に充て、商用化を早期に実現させたい考えがあるとみられます。

なお、この改正案が閣議決定された翌日の3月2日には、国産のSAFの商用化や普及・拡大に取り組むため、航空業界の有志によるACT FOR SKY」という団体が設立されました。「ACT FOR SKY」は、日揮ホールディングスレボインターナショナル全日本空輸日本航空の4社を幹事会社とし、業界を横断して国産SAFを広めることを目的としています。

出典)国産SAF(持続可能な航空燃料)の商用化および普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」を設立|プレスリリース|JAL企業サイト

関係者の連携で再エネ・省エネも促進へ

さらに、空港という拠点に関しても空港管理者に対し脱炭素化の推進計画を求めるとしています。この計画策定にあたって関係者による「空港脱炭素化推進協議会」を編成し、脱炭素化に向けた協議を行うこととされました。

これらの関係者には、空港管理者や航空会社、給油事業者、再エネ事業者といったさまざまな組織が含まれるとみられます。航空業界と再エネ・省エネ事業者、そして国や自治体といったステークホルダーが協議会メンバーとなることで、空港の脱炭素化をスムーズに進めたい考えです。

具体的な取り組みとしては、太陽光発電システムの導入航空灯火のLED化地上の走行ルートの見直しなどが挙げられています。

2022年度には、設備の導入支援やモデル事業などの実施を経て、空港の脱炭素化整備マニュアルが策定されるとみられます。こうした取り組みによって、空港を含む航空業界全体の脱炭素化が加速すると期待されます。

参考:国土交通省「航空法等の一部を改正する法律案」を閣議決定~我が国航空分野の脱炭素化の推進とコロナ禍における航空ネットワークの確保を図ります!

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook