2022.10.15 Update
令和5年度の概算要求、国交省・経産省・環境省のポイントは?
各省は8月末、令和5年度予算の概算要求を発表しました。国土交通省、経済産業省、環境省の概算要求の中から注目したいポイントについて、抜粋してご紹介します。
国土交通省の概算要求のポイント
国土交通省の令和5年度予算の概算要求額は、合計6兆9,681億円。2050年カーボンニュートラルに向けたグリーントランスフォーメーションの推進にも重点が置かれました。中でも「カーボンニュートラルポートの形成等の港湾・海事分野における脱炭素化の推進(664億円)」などに大きな額が配分されたことは注目に値します。
特に、洋上風力発電事業の推進だけでなく、CO2排出量の少ない船舶の普及や、海洋生態系によって固定されるCO2であるブルーカーボンを活用したものなど多岐にわたっています。
(参考:国土交通省『令和5年度 予算概算要求概要』)
経済産業省の概算要求のポイント
経済産業省の令和5年度予算の概算要求額は、合計1兆3,914億円と、対前年度比13.7%の増加となりました。「持続的な成長を可能とする経済社会の実現」の項目の1つには「炭素中立社会の実現(2,682億円+産総研交付金650億円の内数+NITE交付金79億円の内数)」が計上されています。
中でも、エネルギー構造の転換に関する新規予算としては「系統用蓄電池等の導入及び配電網合理化等を通じた再エネ導入等加速化事業(100億円)」に続いて「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業(88.7億円)」が大きな額となっています。
一方で、産業構造の転換に関しては、企業などによる自主的な排出量取引の場として整備が予定されている「グリーントランスフォーメーション(GX)リーグ運営事業(20億円)」が新たに盛り込まれています。これによって、脱炭素に関する資金の流れが活発化することが予想されます。
(参考:経済産業省『令和5年度 経済産業政策の重点』)
環境省の概算要求のポイント
環境省の令和5年度予算の概算要求額は、合計7,414億円で、対前年度比13%の増額となっています。そのうちエネルギー対策特別会計は、対前年度比47%増の4,297億円。脱炭素化に向けて大幅な増額となりました。地域における脱炭素を「脱炭素ドミノ」の起点と位置付ける環境省は、3省の中でも地方公共団体への支援が際立っている印象です。
環境省が力を入れる脱炭素先行地域づくりのための「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金(400億円)」は、前年度の200億円から倍増しています。「防災拠点や避難施設となる公共施設への再生可能エネルギー設備全国導入加速化支援(70億円)」も対前年度比で増額が予定されています。
(参考:環境省『令和5年度 環境省重点施策』)
このように、各省とも脱炭素に関する項目に多くの予算を割り当てることが予想されます。また、脱炭素と同時に自治体の課題解決を図るという考え方がほぼ定着してきたといえるのではないでしょうか。令和5年度当初予算の決定までには、まだ多くの時間とプロセスを要しますが、来年度が多くの自治体にとって大きな節目の年になるのではないかと考えられます
「制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook」