2023.06.08 Update
脱炭素先行地域、新たに16件。第3回から民間との共同提案が必須に
4月に発表された脱炭素先行地域の第3回公募では、新たに16件の計画が選定されました。これまでと異なり、第3回公募では民間事業者などとの共同提案が必須になり、計画の実現性がより厳しく審査されるようになっています。
回追うごとに絞られ 公募は厳選の傾向
(脱炭素先行地域の選定状況(第1回〜第3回)。出典:環境省)
環境省が、2025年度までに少なくとも100ヶ所の選定を目指す脱炭素先行地域。第3回目の公募が2023年2月7日〜17日の日程で行われ、4月28日に公募結果が発表されました。58件の計画提案から今回新たに選定されたのは、青森県佐井村など合計16件。これで脱炭素先行地域は合計62件になりました。選定数は第1回が26件、第2回が20件だったことから、厳選される傾向が強まっているようです。
実現可能性とモデル多様化 2つの変更点
(第3回公募における主な変更点。出典:環境省)
今回の公募では、これまでの公募にはない変更点が2つ加えられました。まず、民間事業者などの共同提案が要件化されたこと。広範囲にわたる脱炭素事業の実現性を高めるため、さまざまな事業者と協力することが必須になりました。これまでも民間事業者との共同提案は増えていましたが、要件に組み込まれたのは今回が初めてです。
変更点の2つ目は、優れた提案を優先的に選定するための要件として「重点選定モデル」が設けられたことです。モデルは「施策間連携」「地域間連携」「地域版GX」「民生電力医大の取組」の4つ。これによって地域脱炭素のモデルの多様化を目指すとしています。
(脱炭素先行地域(第3回)選定 施策間連携モデル。出典:環境省)
4つのモデルの中でもっとも多く選定されたのが「施策間連携モデル」の5件でした。脱炭素事業と、関係省庁の支援策を複数組み合わせ、暮らしの質の向上や農林水産業など地域経済への裨益、より効果的なCO2削減といった相乗効果が期待できると評価されました。
関係者の意思統一 強いリーダーシップ必要
共同提案の要件化や重点選定モデルといった変更点は、次回以降の公募にも盛り込まれるでしょう。計画を実行するには民間事業者などとの協力が欠かせませんが、関係者が増えるほど意思決定が難しくなる側面もあります。脱炭素と地域課題の解決を両輪で進める脱炭素先行地域では、関係者をとりまとめるリーダーシップや推進力がより強く求められると言えます。
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook