2023.10.13 Update
第3回「地域共生再エネ顕彰」の公募スタート。R4年度顕彰の3事例を紹介
経済産業省は9月20日、令和5年度「地域共生型再生可能エネルギー事業顕彰(地域共生再エネ顕彰)」の公募を始めました。優良な事業に「地域共生マーク」を付けてPRすることで、より良い事業の普及・促進を促す考えです。第3回目の公募となった今回の顕彰の要件や、これまでの顕彰の事例を紹介します。
「地域共生型再生可能エネルギー事業顕彰」とは
「地域共生型再生可能エネルギー事業顕彰(地域共生再エネ顕彰)」とは、地域との共生を図りながら、再生可能エネルギーの導入に取り組む優良な事業者に対して「地域共生マーク」を付与・顕彰することによって、地域と共生した再エネの普及・促進を行うものです。
地域における再エネは、CO2削減の効果があるだけでなく、地域の活性化や災害などへのレジリエンス強化に役立つと期待されています。その一方で、景観への影響や、使用済み再エネ発電設備の廃棄に関する問題が顕在化しており、こうした課題に対処しながら地域への再エネ導入を進める重要性が高まっています。
地域共生再エネ顕彰では、優良な事例を顕彰し、WEBサイトへ掲載するなどして広くアピールすることで、より地域と共生した再エネの普及を促しているのです。
第3回公募受付は9月20日〜11月10日まで
今年で第3回目となる地域共生再エネ顕彰。公募期間は、2023年9月20日(水)〜11月10日(金)までです。申請者は、まず、地域共生再エネ顕彰のWEBサイトで申請書類をダウンロードし、申請予定の事業が要件を満たしているかどうかを公募要領で確認する必要があります。
公募要領によると、申請要件として、再エネ発電設備や熱供給設備による電気・熱を供給することに加え、設備の安全性や住民の理解を得ていること、6ヶ月以上の実績を有している事業であることなどが挙げられています。
地域共生再エネ顕彰の公募要領など詳細については、こちらをご確認ください。(参考:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/saiene_kensho/about.html )
令和4年度の顕彰事業3つを紹介
地域共生再エネ顕彰では、これまでにどのような事例が選ばれているのでしょうか。第2回公募の顕彰事業3つを紹介します。
地域の資源を活かした木質資源の地産地消(TJグループホールディングス)
更新顕彰事業は、TJグループホールディングス(大阪府大東市)による「地域の資源を活かした木質資源の地産地消」です。木質廃棄物や山林未利用材をバイオマス発電所の燃料として年間約10万トン資源化し、発電した電気を木質廃棄物の排出者である大東市の公共施設39箇所などに供給しています。これによって、電力使用量を年間11%削減することができ、環境負荷と電気料金の負担削減を両立しています。
再生可能エネルギー×農業×観光×教育で次の時代の一次産業の形を創る~ソーラーシェアリングによる会員制ブルーベリー体験農園事業(たまエンパワー)
新規顕彰事業として、たまエンパワー(神奈川県相模原市)が共同事業者であるさがみこファームと取り組んでいる「再生可能エネルギー×農業×観光×教育で次の時代の一次産業の形を創る~ソーラーシェアリングによる会員制ブルーベリー体験農園事業」を紹介します。
同事業では、ソーラーシェアリングにより会員制ブルーベリー農園で、障がい者就労支援団体と連携して生産を行い、荒廃農地の再生や体験農園による収益性の向上を実現しています。多くの見学会や職場体験なども受け入れており、横展開が期待できるとして顕彰に選ばれました。
木質バイオマスを中心としたゼロエミッションの取組と早生樹を活用した未来への森林づくり(モリショウ)
新規顕彰事業の2例目は、モリショウ(大分県日田市)が日本フォレスト、グリーン発電大分、日田グリーン電力の3者の共同事業者とともに取り組んでいる「木質バイオマスを中心としたゼロエミッションの取組と早生樹を活用した未来への森林づくり」です。
この事業の特長は、入り口から出口まですべてを地域内で完結していること。自社グループで木質バイオマス発電の燃料の調達から電気の供給まで一貫して行っています。また、Jクレジット制度を活用し、得られた収益によって適切な森林管理を行い、植林から伐採までのサイクルが早い早生樹の苗木生産や植林を通じて、地域内で「伐る、使う、植える」といった運用を完結しています。
新たな「地域共生再エネ顕彰」の事例に期待
再エネは本来、地域の資源をうまく活用して地産地消を行うのに適した分散型エネルギーであるという側面をもっています。CO2削減に役立つだけでなく、地域資源を有効活用して新たな経済循環を生み出し、地域活性化を実現し、非常用の電源としても活躍するなど多くのメリットがあります。今年度はどのような事例がノミネートされるのか、期待を込めて応援したいと思います。
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook