2024.01.20 Update
【令和6年度】スマートシティに関する予算案のポイント 〜環境省編〜
昨年末、一般会計の総額が112兆717億円にのぼる令和6年度予算案が閣議決定されました。この予算案は、1月26日からの通常国会での審議を経て決定されます。今回は、閣議決定された環境省の令和6年度エネルギー対策特別会計予算案から、スマートシティと関連がある補助金・委託費事業をピックアップして紹介します。
R6年度エネ特の新規事業
令和6年度の環境省のエネルギー対策特別会計(エネ特)予算案は、令和6年度当初予算案で1,899億円、令和5年度補正予算額で2,552億円が計上されました。新規の予算案のうち、地方公共団体に関連するものは、主に次の3つです。
環境保全と利用の最適化による地域共生型再エネ導入加速化検討事業
【令和6年度予算案:7.2億円】
昨年のCOP28でも話題になった、気候危機と生物多様性の損失への統合的な対応を目指して、再エネの導入による景観への影響を評価・可視化するため、新たに計上されました。アセスメントデータへのアクセシビリティの向上やデータ利活用の促進などが含まれます。
具体的には、再エネ施設を国定公園などに導入した場合の景観への影響の評価のほか、洋上風力発電の導入に伴う環境情報の調査・提供事業が対象となっています。事業期間は、令和6〜8年の3年間の予定です。
建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業(一部 農林水産省・経済産業省・国土交通省 連携事業)
【令和6年度予算案:47.2億円/令和5年度補正予算:61.7億円】
地方公共団体や民間企業、団体を対象に、業務用施設のZEB化・省CO2化の普及・加速に役立つ高効率設備などの導入を支援する事業です。経済産業省との連携による「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業」では、新築と既存の建築物の両方に対して、延べ床面積とZEBのレベルに応じて4分の1〜3分の2の補助を行う予定です。
また、国土交通省、経済産業省との連携事業として、上下水道やダムにおける再エネ設備や高効率設備などの導入を支援する「水インフラにおける脱炭素化支援事業」なども盛り込まれました。同事業は、H28〜R5年度に行われた「上下水道・ダム施設の省CO2改修支援事業」を発展させたもので、水インフラ由来の再エネ電気を周辺地域に供給するモデル事業や、水インフラ上部などの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業が新たに対象に含まれました。
「デコ活」(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)推進事業
【令和6年度予算案:37.6億円/令和5年度補正予算:5億円】
昨年、新たに開始された国民運動である「デコ活」の推進を通じて、新しい豊かな暮らしと脱炭素社会の両立を目指す事業です。主に、官民連携で国民運動の普及を図る「デコ活推進に係る社会実装型取組等支援」や、「地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく普及啓発推進」が挙げられます。
R6年度も継続予定の事業
環境省の令和6年度エネ特予算案において、設備導入に関連する補助事業で継続が予定されているものは、主に次の3つです。
地域脱炭素の推進のための交付金
【令和6年度予算案:425.2億円/令和5年度補正予算:135億円】
令和5年度と同じく、「(1)脱炭素先行地域づくり事業」「(2)重点対策加速化事業」「(3)自営線マイクログリッド事業」の3事業による構成で、補助率も引き続き(1)が原則3分の2、(2)が3分の1〜3分の2・定額、(3)が原則3分の2となっています。
地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
【令和6年度予算案:20億円/令和5年度補正予算:20億円】
災害・停電時に公共施設へエネルギー供給が可能な再生可能エネルギー設備などの導入を支援する同事業も、継続の予定です。支援対象や補助率などは令和5年度から大きな変更はなく、PPA・リース・エネルギーサービス事業で地方公共団体と共同で申請する場合に限って、 民間事業者や団体などによる申請も認められます。
ゼロカーボンシティ実現に向けた地域の気候変動対策基盤整備事業
【令和6年度予算案:8億円】
令和3年度から始まった本事業は、令和7年度まで継続される見込みです。増額はされず、今年度と同額が計上されました。
(参考:環境省『令和6年度(2024年度)エネルギー対策特別会計予算(案) 補助金・委託費等事業(事業概要)』)
本記事では、環境省の令和6年度エネ特から注目の補助事業を抜粋しました。次回も、他の省庁の予算案に盛り込まれたスマートシティ関連の内容を引き続き紹介します。
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook