奈良県、県有地の大規模太陽光によるグリーン水素プロジェクトを開始

2024.02.22 Update

再エネ カーボンニュートラル

奈良県、県有地の大規模太陽光によるグリーン水素プロジェクトを開始

奈良県は2024124日、県有地に大規模な太陽光発電設備を新設し、発電した電気で水素を製造する新たなプロジェクトの概略を発表しました。県の脱炭素目標を達成するだけでなく、産業振興や防災の拠点としても役立てる考えです。

 

大規模太陽光発電と水素を脱炭素の中核に

山下真奈良県知事は124日、知事記者会見で「脱炭素・水素社会実現に向けた取組」を発表しました。県は、2030年に温室効果ガス45.9%削減、2050年にカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げています。記者会見では、この一環として、大規模な太陽光発電によって水素を製造し、県内企業などのエネルギー源として活用することで、温室効果ガス排出量の削減などを目指すことが明らかになりました。 

県は、地理的な要件や電力系統の制約から、再生可能エネルギーの中でも水力発電や風力発電を導入するのには限界があるとして、太陽光発電と水素を重要なエネルギーと位置付けています。水素は使用する段階で二酸化炭素(CO2)を排出しないことや、太陽光発電の出力の変動を吸収する「調整力」としても活用できることから、水素を中核として県の脱炭素化を進めるとしています。 

 

需給両面で水素を活用し企業競争力の強化も

水素社会の実現に向けた新たなプロジェクトとして、五條市にあるゴルフ場跡地の県有地に関西最大級の太陽光発電所を建設し、水素の生成に役立てる考えです。水素製造拠点と水素ステーションの導入、燃料電池や燃料電池車(FCV)の導入、事務所や工業団地での利用を進め、供給と需要の両目で取組みを進めるとしています。令和6年度からは、水素の利活用に関する施策の検討に本格的に着手する見通しです。 

また、脱炭素の拠点とするだけでなく、災害などの非常時にはエネルギーの供給拠点としても活用するとしています。県有地には、太陽光発電所のほかに災害用のヘリポートや滑走路なども整備し、移動式の蓄電池に貯めた電気を被災地に輸送するなどの防災対策も検討するとしています。 

さらに、水素を活用することで県内企業のCO2排出削減にも役立て、企業競争力の強化も図りたいとしています。水素の活用ニーズに関しては、今回の発表に先立って民間事業者によるサウンディングを行い、一定程度のニーズがあることが把握できたとのことです。今後のプロジェクトの動向に注目していきます。 

(参考:奈良県WEBサイト 

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook