福島県、再エネ導入量が電力需要を超過。着実な歩みの背景にあるものとは?

2024.11.15 Update

再エネ

福島県、再エネ導入量が電力需要を超過。着実な歩みの背景にあるものとは?

福島県は9月19日、2023年度の再生可能エネルギー導入量が、県内の電力需要量に対して初めて100%を超えたと発表しました。県のエネルギービジョンや県内企業の支援策など、再エネ導入促進の背景を探ります。

 

電力需要量に対する再エネ導入量が102%に

(県内電力消費量との比較の推移。出典:福島県)

 

福島県によると、2023年度の再生可能エネルギー導入量は3,961MWとなりました。住宅用太陽光発電のほか、吾妻高原風力発電所(福島市)32MWなどの導入が全体容量を引き上げました。県内の電力需要量に対する再エネ導入量は102.9%となり、初めて100%を超えたということです。昨年度は96.2%だったため、6ポイント以上の増加となりました。

(参考:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/11025c/re-dounyu.html

 

 

40年までにエネルギー需要も再エネ100%へ

福島県は2021年、「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」を更新しました。基本方針では、東日本大震災からの復興理念を基礎として、再エネの導入拡大と水素社会の実現に取り組むことによって産業集積を図り、持続可能なエネルギー社会を目指すとしています。

 

ビジョンでは、県内の電力需要量に対する再エネ導入量の割合を2025年までに100%にするという目標を設定しました。今回、この目標を2年前倒しでクリアしましたが、県は今後も、100%以上を維持できるように取り組みを継続するとしています。

 

エネルギー需要全体に対する再エネの割合に関しては、2030年までに再エネ70%、2040年までに100%を目指すとしており、2023年度の割合は54.9%となっています。

(参考:https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/486658.pdf

 

 

産業集積を目指し企業をサポートする機関も設置

県は、「再生可能エネルギーの飛躍的推進」を復興の柱に据えています。再エネ関連産業の育成・集積することは、こうしたビジョンを実現する上で極めて重要なポイントです。そのため、県内企業のさまざまな支援を行うために2017年に設立されたのが、「エネルギー・エージェンシー・ふくしま」です。

 

エネルギー・エージェンシー・ふくしまは、再生可能エネルギー分野での福島発の新技術、新製品、新たなビジネスモデルが次々と生み出される環境を創り出すため、再エネ分野に取り組む企業数、雇用者数、生産額をトップクラスに押し上げることを目的とする専門的な組織と位置付けられています。専門分野に精通したコーディネーターが10名以上在籍しており、風力や水素、バイオマスといった再エネに加えて、海外連携や補助金などさまざまな面から企業をサポートしています。

 

また、特定のトピックスに特化した分科会も定期的に開催しており、県内企業だけでなく、県外企業も入会金、年会費などは無料で参加することができます。

 

こうした取り組みの結果、福島県内では、新たに風力発電機のメンテナンス事業に参入する企業が登場しています。産業の集積に向けて着実に歩みを進める福島県の取り組みに期待が寄せられています。

(参考:https://energy-agency-fukushima.com/

 

 

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook    HP