半導体関連企業の進出で、熊本を中心に広がるインパクト

2024.10.25 Update

IoT 半導体

半導体関連企業の進出で、熊本を中心に広がるインパクト

半導体製造の大手企業である台湾のTSMCが、日本初となる関連工場を熊本県に新設しました。工場が立地する菊陽町だけでなく、近隣の市町村でも新たな動きが生まれています。九州からのリポートです。

 

シリコンアイランド・九州

半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited)は、熊本県菊池郡菊陽町に子会社の工場を新設しています。子会社の名称は、Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社、通称JASMです。ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー、トヨタ自動車も、少数株主として出資参画しています。年内に第1工場が稼働する予定で、2027年には第2工場も完成するとされています。

九州は「シリコンアイランド」とも呼ばれ、早くから半導体関連企業の誘致に努めてきました。熊本市南区には、ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリングの川尻工場があります。また、福岡県筑後市には、ロームアポロの筑後工場、佐賀県にはSUMCOの製造拠点など、多くの半導体関連企業が立地しています。

 

荒尾市にも台湾企業が工場を新設

今回、TSMCの関連企業が菊陽町に進出することに伴って、工場の製造設備を支える企業の誘致なども進んでいます。熊本県と荒尾市は、台湾企業の翔名科技股份有限公司と株式会社大東工業との合弁会社である、Feedback Technology Japan株式会社が、荒尾市内に工場を新設することに関する立地協定を結んだことを、10月4日に発表しました。TSMCは、製造設備などのインフラの多くを台湾から調達すると考えられ、今後もこうした企業の進出が予想されます。

 

働き手の住環境や交通インフラに課題も

その一方で、働き手が急激に増えることで、住環境や交通手段の充実が急がれています。住居や宿泊施設、公共交通機関の整備などが急務だと考えられます。特に、交通手段の拡充には多くの時間がかかることから、以前から近隣に住んでいる人にとっては、思わぬ混雑を感じる場面もあるかもしれません。経済や生活環境への好影響が一過性の“バブル”のようにならないように、新たな循環が持続することを期待します。

 

 

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook    HP