2018.09.20 Update
持続可能な開発のためのアジェンダ:SDGs①
持続可能な開発目標(SDGs)とは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。
SDGsは2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。
5つのPと、17の目標
SDGsは、下図に示す5つのPという考え方に基づき、17の目標を定めています。今後15年間、すべての人に普遍的に適用されるこれら新たな目標に基づき、各国はその力を結集し、あらゆる形態の貧困に終止符を打ち、不平等と闘い、気候変動に対処しながら、誰も置き去りにしないことを確保するための取り組みを進めてゆく、ということが明記されています。
SDGsで掲げられている目標は次の17個です。
SDGs進捗状況の自主的な検証とレビュー
アジェンダで掲げられた17の持続可能な開発目標と169のターゲットの達成に向けた進捗状況は、国連統計委員会が合意したグローバル指標を用いて検証、レビューされています。
検証・レビューについては多くの国が、持続可能な開発に関する年次国連ハイレベル政治フォーラム(High-level Political Forum)の会合において自主的報告を行っています。
HLPFは進捗状況を検証するだけでなく、各国が具体的な取り組みを発表、共有することで、新たに生じつつある持続可能な開発問題を明らかにし解決に向けて取り組む場となっています。
2018年度のHLPFではSDGs制定から三年の進捗状況として、これまでの取組の延長では2030年のSDGs達成が困難であり、国連機関や各国政府だけでなく、市民団体、企業、自治体、教育・研究機関等が協働して変革を起こすことが急務である、ということが広く理解されました。
企業に投資を呼び込む鍵となる
2015年にSDGsが国連加盟国によって合意されて以来、SDGsが経済へ大きな影響を与えることが考えられます。そのひとつが、ESG投資の拡大です。
世界の解決すべき課題を環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの分野に整理し頭文字をとってESGといい、ESGに配慮した責任ある投資を行うことをESG投資といいます。2016年には1500以上の企業や組織が国連PRI(Principles forResponsible Investment:責任投資原則)[1]に署名し、ESG投資の運用資産の残高合計は60兆ドルに達しています。[2]
ESGとの関連性が高い目標を掲げているSDGsは、ESG投資家にとって、投資対象企業の企業価値を評価する共通言語として、投資判断の重要な要素となることが予想されます。
日本政府の企業支援や経団連の理念にもSDGsが取り入れられる
日本国内でも政府や各団体がSDGsをとりまく動きを加速させています。
日本政府は2017年5月、SDGsの効果的推進を図るため、内閣総理大臣を本部長とした持続可能な開発目標(SDGs)推進本部を設置しました。
その流れを踏まえ、2017年11月8日、経団連は会員企業向けの行動指針「企業行動憲章」にSDGsの理念を取り入れるよう7年ぶりに改定しました。「持続可能な社会の実現をけん引する役割を担うことを明示した、極めて重要な改定」としています。
直近では、今年の6月に閣議決定した「未来投資戦略」において、「Society 5.0」の実現をSDGs(人口減少、高齢化、エネルギー、環境制約など)の枠組みで捉え、これらの達成に向けた企業支援などを政府の投資戦略として盛り込んでいます。
これらの動きを受け、多くの企業がその企業活動にSDGsの考え方を取り入れ、新たな取組を見せ始めています。
次回はそのようなSDGsを実際に取り入れた最新事例をいくつかご紹介します。
[1] 金融機関などが投資の意思決定を行う際には、投資先となる企業の環境・社会問題・企業統治(ESG問題)への取り組みを考慮・反映すべきであるという原則
[2] https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/sl_info/pension/pdf/pension_news201707.pdf
(文:スマートシティニュース編集部 篠原)