2021.12.06 Update
「デジタル田園都市構想」とは何か? 政府、実現会議を初開催
地方のデジタル化を進めることで地域課題を解決し、地方と都市の双方を豊かする「デジタル田園都市国家構想」。政府が実現に向けた初会合を11月に開催しました。
「デジタル田園都市国家構想」とは
「デジタル田園都市国家構想」とは、地方のデジタル化によってビジネスや教育、医療といったさまざまな課題を解決し、地方と都市の差を縮めるようとするアイディアです。
地方と都市のあり方は今、新しい局面に入ったといえます。2020年の東京圏への転入人口は、コロナの影響で約10年ぶりに減少に転じました。東京から地方に本社を移転した企業も多くあり、出勤しないリモートワークも一般的になりました。
デジタル田園都市国家構想では、地方の魅力を維持しながら、都市と変わらない利便性や仕事・教育の機会の充実を目指します。心豊かな暮らしであるウェル・ビーイングと持続可能な環境・社会・経済の両立がコンセプトです。
従来のまちづくりを超えたさまざまなアプローチ
岸田総理は、10月の所信表明演説で「デジタル田園都市国家構想」を成長戦略の第2の柱と位置付けていました。岸田総理が議長を務めるデジタル田園都市構想実現会議の初会合が、11月11日に開催されました。
会合で示された、デジタル田園都市国家構想の取組みイメージは下図のとおりです。
(出典:内閣官房 第1回 デジタル田園都市国家構想実現会議)
アプローチの例として「Super City/Smart City型」「MaaS発展型」「地域経済循環モデル型」「スマートヘルスケア先行型」「防災・レジリエンス先行型」の5つが提示されています。
このうち「Super City/Smart City型」では、必要に応じて国家戦略特区による規制改革を行うなど、総合的で大胆なまちづくりを行う可能性も示唆されました。
今後の論点は人材育成やデジタル基盤の整備など
一方で、デジタル田園都市国家構想の課題には「地方の課題を解決するためのデジタル実装」「デジタル人材の育成・確保」「地方を支えるデジタル基盤の整備」「誰一人取り残さない社会の実現」の4点が挙げられました。
新産業を創出し、地方でも働けるようにすることや、交通・物流の整備は大前提といえます。5GやWi-Fiといった通信環境の整備も不可欠です。教育や医療・福祉などのサービスの充実も求められるでしょう。
デジタル化が進めば、地方にいながら海外とも仕事ができる環境が整います。また、スーパーシティによってこれまでにない取組みが生まれ、新しいビジネスに成長するかもしれません。地方の活性化につながるデジタル田園都市国家構想の進展が期待されます。
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook