2022.05.10 Update
脱炭素先行地域、第1回は26件に決定! 先進性とモデル性を重視
4月26日、環境省が第1回脱炭素先行地域の選定結果を発表しました。初めての脱炭素先行地域には全国から26件が選ばれ、脱炭素を基軸とした地域課題のソリューションが初公開されました。
100を超える地方公共団体から応募集まる
脱炭素先行地域の第1回公募は、2022年1月25日〜2月21日に実施されました。わずか1ヶ月足らずの募集期間だったにも関わらず、全国102の地方公共団体から合計79件の応募があったといいます。
第1回の脱炭素先行地域に選定された26件の一覧は、下表の通りです。応募にあたっては、民間企業や学術機関などとの共同提案も認められていたため、多くの地方公共団体が共同提案の形式をとっています。
出典)環境省 脱炭素先行地域選定結果(第1回)一覧
都市部や地方など特性に応じた多様な計画
選定された26件の中には、森林資源などの豊富な地方もあれば、再エネ発電設備を設置するスペースの限られた都市部も含まれています。
例えば、北海道上士幌町では、家畜の排せつ物を利用したバイオガス発電などを再エネ電源として計画しています。また、以前から木質バイオマスの活用を進めてきた岡山県真庭市も、未利用の広葉樹林や耕作放棄地の早生樹なども利用し、バイオマス発電などを推進するとしています。
一方で、埼玉県さいたま市や神奈川県横浜市といった都心部では、公共施設の屋根や調整池などを活用して太陽光発電設備の導入を拡大しようとする工夫が見られました。また、新潟県佐渡市のように、再エネ発電設備で発電した電気を電気自動車(EV)などへ充当するエネルギーマネジメントのプランも見受けられます。
さらに、電気の自給自足を可能にするマイクログリッドを計画に織り込んだ地方自治体もあります。北海道石狩市は、太陽光発電設備を設置予定の石狩湾新港エリアから中心部の公共施設へ、マイクログリッドを構築するとしました。
また、秋田県秋田市も、消化ガス発電や太陽光、風力発電と公共施設を自営線で結び、蓄電池とエネマネシステムでコントロールを行いながらマイクログリッドを構築するとしています。
なお、マイクログリッドについては、こちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。(参考:資源エネルギー庁の『地域マイクログリッド構築のてびき』、ここがポイント! | SMART CITY NEWS(スマートシティニュース))
先進性・モデル性と実現可能性を高く評価
環境省が同日に公表した「脱炭素先行地域選定結果(第1回)の総評」によると、今回の評価においては(1)範囲の広がり・事業の大きさ、(2)関係者と連携した実施体制、(3)先進性・モデル性ーーの3点を考慮し、「特に『脱炭素ドミノ』につながる先進性・モデル性と実現可能性があるかどうかに留意」したとされました。
選定された26件に対しては、今後、評価委員による積極的なフォローアップが実施され、計画の実現に向けて動きが加速していくものと思われます。一方で、選定されなかった応募地域についても、プランをさらにブラッシュアップして次回公募に臨むことが期待されています。
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook