2022.05.25 Update
グリーンインフラとは? 脱炭素化と地域課題の解決に、高まる期待とその可能性
自然環境がもつ機能を活用しながら、持続可能で魅力的な地域づくりを目指す「グリーンインフラ」。来年には初の展示会も予定されています。国交省などがこのほど、支援制度集を公開しました。
「グリーンインフラ」とは?
グリーンインフラとは、もともと欧米において、自然環境を利用した社会資本の整備として注目されてきた考え方でした。例えば、米国では、雨水をコントロールし、災害を防いだり景観に配慮したりすることで、その地域の市場価値を向上させることに役立ったという事例も報告されています。
日本では、国土交通省による2015年の「国土形成計画・第4次社会資本整備重点計画」にグリーンインフラが盛り込まれました。国内でのグリーンインフラの定義は「社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組」とされています。
参考)環境省:グリーンインフラの取組に活用可能な支援制度を取りまとめました
グリーンインフラに期待される効果
こうしたグリーンインフラには、さまざまなメリットが期待されています。具体的には、自然環境を整備することによるCO2の吸収効果や頻発・激甚化する災害への適応策としてのはたらきに加え、SDGsやESG投資への関心が高まる中、地域の価値を向上させることにも役立つとされているのです。
こうした便益が期待されることから、環境省などの関係府省庁は、2020年に「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム」を立ち上げました。このプラットフォームには、国や地方公共団体、民間企業や大学・研究機関など、多くのステークホルダーが参加し、グリーンインフラの普及や調査・研究、資金調達といったテーマについて議論を重ねています。
ストック活用や生態系保護など多岐にわたるグリーンインフラ
出典)国土交通省・農林水産省・環境省『グリーンインフラ支援制度集』
グリーンインフラについての検討を経て、国土交通省・農林水産省・環境省は4月、29件の支援制度を網羅した「グリーンインフラ支援制度集」を発表しました。これらの支援制度の内訳は、国土交通省によるものが4件、農林水産省が9件、環境省が4件、公益財団法人などが4件となっています。
グリーンインフラと一口に言っても、紹介されている制度の中には、老朽化した既築(ストック)の活用に関するものや生態系ネットワークの形成に寄与するものなど、多岐にわたります。また、エコツーリズムに関する支援制度もあり、一般的なインフラ整備のイメージを超えたものも含まれていることがわかります。
さらに、2023年2月には、東京ビックサイトで初めての「グリーンインフラ産業展 2023」の開催も決定しています。脱炭素化と地域課題の解決の両立が迫られる中、グリーンインフラが熱を帯びるとともに、魅力ある地域づくりへの希望の高まりを感じます。
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook