【令和6年度】スマートシティに関する予算案のポイント 〜経済産業省・国土交通省編〜

2024.01.30 Update

スマートシティ

【令和6年度】スマートシティに関する予算案のポイント 〜経済産業省・国土交通省編〜

昨年末に閣議決定された令和6年度予算案から、今回は、スマートシティと関連がある経済産業省、国土交通省の予算案についてピックアップして紹介します。予算案は国会での審議の後に決定されますが、令和5年度からどのような変更点があるかなどについて、抜粋して紹介します。 

 

経済産業省の予算案のポイント 

経済産業省の令和6年度予算案には、新たに「GX経済移行債」が盛り込まれました。これは、官民のGX(グリーントランスフォーメーション)を促進するため、カーボンプライシングによって得られる将来の財源を裏付けにした投資です。当初予算では合計6,000億円規模の支援を行うとし、令和5年度補正予算と合わせると1.7兆円規模に上ります。国は、令和6年度以降10年間にわたって、GX経済移行債として約20兆円規模の支援を行うとしています。 

GX経済移行債は、蓄電池や次世代型太陽光発電のサプライチェーン構築など、主に民間の技術開発を対象としていますが、既存建築物の改修支援なども含まれるため、地方自治体も対象の一部に含まれるでしょう。 

また、「再生可能エネルギー導入拡大に向けた系統用蓄電池等の電力貯蔵システム導入支援事業(85億円)」も新規で計上されました。去年7月、全国知事会が、第1回脱炭素・地球温暖化対策本部会議で系統用蓄電池への支援拡充を国に提言しましたが、今回、新たに導入支援が強化された形です。 

他に、水素などの新しい燃料や持続可能な航空燃料(SAF)のサプライチェーンを構築するための支援事業に多額の予算が計上されています。全体として、脱炭素に関するエネルギーリソースの普及だけでなく、国内のサプライチェーンをしっかりと構築することで、経済的な好循環を生み出そうという考えが反映されています。 

(参考:経済産業省『経済産業省関係 令和5年度補正予算・令和6年度当初予算案の概要』) 

 

国土交通省の予算案のポイント 

国土交通省の令和6年度予算案のポイントとして、まず、「デジタル田園都市国家構想の実現に資する交通のリ・デザイン」に435億円が計上されたことが挙げられます。令和5年度補正予算の361億円と合わせると、合計796億円に上ります。 

令和5年度の当初予算では、「官民共創等による持続可能性と利便性・効率性の高い地域公共交通ネットワークへのリ・デザイン(再構築)等」として252億円(令和4年度補正予算との合計1,063億円)が盛り込まれていましたが、引き続き大規模な予算が割り当てられました 

地方を中心に移動手段の確保が課題となる中、自動運転やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)などのデジタル技術を実装する「交通DX」と、車両の電動化や再エネの地産地消などの「交通DX」を進めるとされています。政府は肝入りの「デジタル田園都市国家構想」に引き続き注力する考えです。 

他に、「グリーンインフラ、まちづくりGX等のインフラ・まちづくり分野における脱炭素化の推進」には、令和5年度当初予算135億円から増額の179億円が計上されました。CO2吸収や暑熱対策、生物多様性の確保、Well-beingの向上に役立つ都市の緑地の整備を通じて、まちづくりGXを推進するとしています。

(参考:国土交通省 令和6年度予算決定概要 

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook