「PPP/PFI推進アクションプラン」を改定。脱炭素を踏まえて活用領域を拡大

2024.07.02 Update

官公庁 カーボンニュートラル PPP/PFI

「PPP/PFI推進アクションプラン」を改定。脱炭素を踏まえて活用領域を拡大

公民連携を意味するPPP/PFIは、全国の多くの地方公共団体で推進されています。内閣府はこのほど、「PPP/PFI推進アクションプラン」を改定しました。分野横断型・広域型PPP/PFIの形成を促進する考えです。改定のポイントや、今年度の新たな取り組みについて紹介します。

 

PPPPFIのこれまでの経緯

PPPとは「パブリック・プライベート・パートナーシップ」の略称。公共と民間が連携して、互いの強みを活かして最適な公共サービスを提供し、便益の最大化を図るものです。また、PFIとは、「プライベート・ファイナンス・イニシアチブ」の略称です。公共施設の建設、維持管理、運営などに民間の資金やノウハウを活用して、サービス料金の低減や質の向上を目指します。

国は平成25年に「PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプラン」を公表し、全国のPPP/PFIの取り組みを後押ししてきました。アクションプランは、これまでに8回改定されています。近年は、事業件数だけでなく、事業内容に深く踏み込んだ改定が行われているのが特徴です。

 

「PPP/PFI推進アクションプラン」R6年度改定のポイント

今年6月の改定におけるポイントは、大きく分けて次の4つです。

 

ポイント①分野横断型・広域型PPP/PFIの形成促進

分野横断型とは、例えば、道路と上下水道を一括して管理するPPP/PFIなどを指します。異なる公共施設の間で一貫したPPP/PFIを行うことで、類似・共通する業務を統合して効率化を図ります。

また、広域型とは、例えば、A市とB市が共同で火葬場を運用するなどの取り組みが該当します。地方公共団体間で連携して業務を補完し合うことで、効率的な運営を目指します。国は、今年度中に分野横断型・広域型PPP/PFIの手引きを整備しするとしています。

 

ポイント②民間企業の努力や創意工夫で適正な利益を得られる仕組みの構築

適正な価格の算出や、メリットの適切な評価など、社会環境の変化に対応して、民間事業者が適正な利益を得られるような環境づくりを目指します。近日中にガイドラインを整備するとしています。

 

ポイント③事業件数10年ターゲットの上方修正及びPPP/PFIの活用領域の拡大

これまでのPPP/PFIの事業が順調なことから、事業件数10年ターゲットを当初の目標の575件から650件に上方修正しました。また、カーボンニュートラルの実現を踏まえて、重点分野として、新たに自衛隊施設を追加しました。関連して、PFIや包括的民間委託などを組み合わせた「防衛省版PPP」を推進するとしています。

 

ポイント④PPP/PFIによる地方創生の推進

空き家などを有効活用して地域課題の解決を目指すスモールコンセッションをはじめとする「ローカルPFI」を推進します。また、全国のPPP/PFI地域プラットフォームを活用して、案件形成に注力するということです。

なお、PPP/PFI地域プラットフォームとは、全国の地方公共団体が代表者となって、参加者がPPP/PFI事業に関するノウハウを習得するための機会などを創出・支援する場です。国は、地域プラットフォームを設定していない9都道府県に対して、令和8年までに設置することを目指して支援するとしました。

(参考:内閣府 PPP/PFI推進アクションプラン(令和6年改定版)

 

「PPP/PFI事業優良事例表彰」を新たに設置

全国のPPP/PFIの事業の中で特に先導的で優良な事例を表彰して、活用拡大を目指す制度を新たにスタートしました。6月21日には第1回の受賞事業が公表され、63件の応募の中から10件が表彰されました。大臣賞には、「宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)(宮城県)」と「旧苅田家付属町家群活用事業(城下小宿 糀や)(岡山県津山市)」の2件が選ばれています。

(参考:内閣府 PPP/PFI事業優良事例表彰

 

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook